中古車輸出をスタートして、しばらくすると、「現地に車をもっていって販売したほうが儲かるかもしれない」と思うことがあります。
現地の人々と話すと、多くの人に「在庫を持ってきたほうが儲かるよと」言われます。
WEB販売と現地販売を比べると
輸出業者 → ブローカー(現地中古車小売店) → 個人顧客
のブローカーがとっている利益を自社で得ることができるので、一見儲かるようにみえます。
確かに、現地で小売されている車は、思ったより高く販売されていますが、在庫の現地販売は、あまりオススメできません。
資金回転率と利益
わかりやすい様に、アフリカに車を運んで、車を現地で販売することを考えてみましょう。
例えば、資金が1,000万円あって、1台20万円の車を1ヶ月に50台販売したとします。
1台あたりの利益は5万円だとします。
その場合、在庫の回転期間を1ヶ月とすると、WEBサイトに掲載して販売する場合は、
50台✕5万円=250万円/1ヶ月 稼げることになります。
これに対し、現地在庫を販売した場合は、1台20万円の利益がとれるとします。(WEB販売より1台15万円多い)
出港してから到着して現地で販売するまで、2ヶ月多くかかるとすると、
50台✕20万円=1,000万円/3ヶ月 稼げることになります。
1ヶ月でならすと333万円になり、一見、現地で販売した方が儲かるように思えます。
しかし、実はこの計算には、WEBで販売するのには必要ないが、現地に在庫を運ぶ為には必要な費用が見込まれていません。
それは、
・船賃
・現地の通関費用
・現地の税金
(※保税ヤードなどを使って、販売するまで現地の関税がかからないようにする方法もあります。これについては別途説明します。)
です。
例えば、1台20万の車をアフリカに運ぶためには、概算で、10万円の船賃、3万円の通関費用、24万円の関税がかかります。
合計すると、1台あたり57万円の資金が必要になります。
したがって、1,000万円の資金で運営すると、実は17台しか販売できず、
17台✕20万円=340万円/3ヶ月
となります。
1ヶ月にならすと113万円となり、1ヶ月250万円稼げるWEB販売に比べ、利益がでないことになります。
このように、現地で販売するためには、WEBで販売するよりも多くの資金が必要になり、資金効率を考えると、なかなか取れない戦略になります。
現地在庫販売の更なるコストとリスク
また、現地で在庫を販売するときには、
・港からの輸送費
・現地販売の為のヤード、店舗代がかかる
というコストも追加でかかります。
また、信じられないかもしれませんが、現地では盗難のリスクが非常に高まるため、盗難防止のために、信頼できるスタッフの雇用費、ガードマン代、保険代、その他の管理コストがかかります。
更に、最大の問題は、
・現地に在庫を持って行くと、その国でしか売れない
・在庫を保有している期間が長くなると、その間に相場の変動がある。
です。
WEB販売の一番のリスクは、在庫保有リスクなので、WEB販売のメリットである広くいろいろな国に同時に販売できるというメリットを失うのは、大きなリスクになります。
このような理由で、資金が潤沢にあり、また在庫を現地に持っていくことで他のメリットがある場合以外、在庫の現地販売は、あまりオススメできない方法になります。