2017年7月1日~7月8日(実際は5日間延長された)にかけて、アフリカ、タンザニア最大の国際商業見本市、通称「サバサバ」が開催されました。
実際に出展していた企業は、衣類、食品、モバイル関連、自動車、バイク、農業機械、建設機械、印刷、照明機器等と実に様々で、来場客も例年通り20万人以上と、アフリカ内でも大きい見本市となりました。
中古車輸出のポータルサイトを運営している当社「カーディールページ」も、今回、このサバサバに出展いたしましたので、その時の様子をレポートいたします。アフリカやタンザニアにご興味のある方々にとって、どんなビジネスチャンスがあるのかのヒントになれば幸いです。
何故タンザニアが注目されるのか?
タンザニア連合共和国(United Republic of Tanzania:通称タンザニア)は東アフリカに位置し、赤道を通るケニアの南に隣接しています。
中古車をはじめ、海外から東アフリカ向けの貨物が集まるダルエスサラーム港(Dar es Salaam)を有し、東アフリカの玄関口を担っています。そのため海に隣接していないアフリカ内陸国への貨物の輸送起点として、輸入額も下記の様に増加傾向にあります。
タンザニアの人口と輸入額の推移
2005 | 2006 | 2007 | 2008 | 2009 | 2010 | 2011 | 2012(予測) | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
人口(百万人、本土) | 36.2 | 37.5 | 38.3 | 39.3 | 40.7 | 41.9 | 43.2 | 44.9 |
輸入(百万ドル) | 2,997.6 | 3,864.1 | 4,860.6 | 7,012.3 | 5,834.1 | 7,165.5 | 9,827.5 | 10,324.9 |
タンザニアデータ
公用語 | スワヒリ語/英語 |
面積 | 94.5万km2 |
推定人口(2016年) | 5,557万人 |
通貨 | タンザニア・シリング(TZS) |
日本との時差 | -6時間 |
首都 | ドドマ(Dodoma) |
主な都市の人口 | ダルエスサラーム(Dar es Salaam) およそ436.5万人 ドドマ(Dodoma) およそ208.4万人 |
カーディールページも、ダルエスサラーム港で荷揚げした車両をザンビア、マラウィ、ジンバブエ、コンゴ等の周辺国へ輸送をおこなうCity Delivery Serviceという輸送サービスを展開しております。
※City Delivery Serviceのサービス概要
https://www.cardealpage.com/city_delivery_service.html
アフリカのビジネスチャンスは無限台!?
タンザニアの話題とは少しそれますが、近頃、アフリカが注目されているのを耳にすることも多いのではないでしょうか。その主な理由は、アフリカの「人口増加」が著しい事から、今後の経済成長の可能性を大きく秘めているからだと考えられます。
国連等から発表されているデータによると、2030年にはアフリカの人口は中国の人口の13.9億人を超え15.6億人になるという予測が立てられており、更に2050年には、世界の人口の1/4がアフリカ人になるというユニセフの予測もあります。
これだけ人口が爆発的に増えれば、多種多様なニーズがそこに発生するはずです。もしかしたら、そのうち、爆買いのアフリカ人も日本に来るかもしれませんね。
また、現地を訪れると、日本をはじめとした先進国では当たり前のサービスが「無い」ことが多く、あったとしても「質が悪い」ケースが目立ちます。そういう意味では、爆発的に増える人口に支えらるニーズがありながらも、まだまだサービスが整っていないアフリカは、ビジネスチャンスの宝庫と言えるかもしれません。
実際に現地に訪れると、それがひしひしと感じられるので「百聞は一見にしかず」、まずはアフリカに行って体験してみるのもいいと思います。
なぜ「サバサバ」に出展したのか?
カーディールページは、海外の中古車を買いたいユーザーと、国内の中古車を売りたい企業様をサイト上にてマッチングさせるビジネスをおこなっております。
当社がサバサバに出展しようと決めた主な理由は下記の5つです。
- 現地ローカルブランディング手法の検証
- ユーザーのニーズと、求められているサービスの調査
- サバサバに集まる人々への販売促進、ブランド認知の促進
- 現地協力企業の新規開拓と、サービスの強化
- 現地の競合や他業種の企業の取り組みの調査
などです。サバサバに出展するどこの企業でも考えそうな事ですよね(笑)。
ただ、いつものアフリカ出張と違うところは、サバサバでは「車を実際に購入するユーザーと、圧倒的に多く効率的に対面できる」ことです。
中古車輸出をしている企業は、海外のお客様に販売しているといっても現地のブローカーや業者に販売しているケースが多いです。しかし今やタンザニアのインターネット環境は発達しており、日本よりやや遅いくらいのスピードでネットに接続できるようになっています。また誰もがスマホを持っています。
このように、アフリカが誰でも情報をすぐに取れる環境になってきたからこそ、個人ユーザーに対するより良いアプローチの方法がないかを検証するために、「サバサバ」に集まる多くのユーザーとの接触を利用しようと考えたのです。
サバサバ出展で準備したこと
ラッピングカーを展示
上記の目的を果たすためにも、多くの来場者にブースに来ていただく必要があります。
そのためには、「やはり車を販売するサイトだし、目立つし、車を看板代わりに使おう!」という単純な発想(笑)でラッピングカーを展示することにしました。
しかし、実際にタンザニアでこれをやってみると苦労しました。
そもそも車を展示する為には、日本で車を用意し、検査・整備して、船で出港。出港から1ヶ月かかってダルエスサラーム港に到着したら、通関、登録後に、ラッピングして搬入と、「車を看板にしたい!」を実現するために合計で3ヶ月くらいかかります。
また、車を現地に持って行ったら最終的にお客様に販売する必要がありますが、なかなか売れないリスクもあります。そこで、なるべくリスクを減らそうと車両価格の安い車を持っ行っても、安い車は見た目も悪くアピール効果は薄くなり、本末転倒です。
そんな試行錯誤ののちに、最終的に準備した車はこちらです。
ブースの装飾・のぼりを作成
カーディールページは、日本企業が一堂に会するジャパンパビリオンに出展いたしました。
サバサバ会場の全敷地が16万m2ある中で、ジャパンパビリオンの立地はメインゲートのすぐ近く。しかもメイン通路沿いで多くの来場客が通りかかる事が想定されていたので、ブース内もカーディールページステッカーで装飾しました。イメージは、野球やサッカーのヒーローインタビューで使用される様な感じですね。
のぼりも、日本でよく見る様な長方形の形は現地には無く、涙型のバナーになりました。
デザインは日本側で作成し、車のラッピングと共に現地の企業様に発注し作成しました。
日本から持って行くと送料も高額な上に時間もかかり、またちゃんと届くのかも不明です(笑)。こういった販促物は、小回りの効く現地での作成の方がいいですね。
そして、でき上がったブースはこちらです。
顧客獲得ツールとしてfacebookフレームを作成
さて、ブースの装飾も決まったので、どうやってお客様に興味を持っていただこうかな?と考えました。
「よし!日本にはあって、現地では無さそうな事をやってみよう!」ということで、日本では結婚披露宴やイベントなどで利用されているfacebookフレームを作成し、来場者の方と写真を撮って目を引こう!と企画しました。こちらのフレームも、もちろん現地で作成しました。
結果は、非常に多くのお客様と写真を撮影することができ、それにつられて、実際に車を購入したい潜在顧客の方と数多くの商談をすることができました。
しかし現地で作成したフレームは、日本で利用されているものよりも耐久性が低く、このままでは1週間は持たないというピンチの中、補強材を切って貼って直してと、なかなか苦労しました。
現地スタッフを採用し、当社の加盟店様と共にオリジナルバルーンでアピール
皆様はもうお分かりでしょうが、サバサバにブースを出すのは結構お金がかかります。渡航費も考えると、数十万では収まりきりません。
当社は、「日本の輸出企業と現地のユーザーを繋ぐポータルサイト」ですので、「現地でも同じコンセプトを提供できないか?」と考えました。
ブース等のセッティングはカーディールページが行い、そこに「今以上に、強力に協力して、マーケットを攻めましょう!」と加盟店様をお誘いし、皆様と一緒に販売促進、ブランドアピールをおこなうことができました。
facebookボードで写真を撮影した方、車の商談をした方には、オリジナルのバルーンをプレゼントしました。バルーンは特に子供に人気で、多くの人が訪れた土日や7月7日の祝日には、カーディールページのバルーンを持った多くの人が、会場内を歩く姿が目立ちました。
また、当社のアフリカ人スタッフの人脈を使い、現地のスタッフを3名雇いました。
彼らはとても働き者でした。
なぜ彼らを雇ったのかというと、タンザニア人の母国語はスワヒリ語なので、現地のお客様と商談するにはスワヒリ語でのコミュニケーション必須だからです。
当社の日本オフィスにもスワヒリ語を話すセールススタッフはおりますので、タンザニアマーケットに対するスワヒリ語の重要性は理解しておりましたが、やはり現地のお客様は母国語のスワヒリ語で話したい人が多く、現地スタッフのおかげで、販促もよりスムーズに進みました。
そんな仲間達と撮影。
サバサバ出展の効果
サバサバのブースで商談する際には、スマホやタブレットを使って販売活動を行いました。商談を通じ、まだまだ当社のサービスは、現地のお客様に対するおもてなしが足りないという事を改めて感じました。
現地でお会いするお客様は、日本からWEBサイトを通じて遠隔で販売しているだけではなかなかリーチしない様な方が沢山います。そして、当社のサービスは、その方々の不安点を払拭するまでには、まだまだ至っていないのが現実です。
おもてなしをサービス上に浸透させることにより、更にユーザーに選ばれるサービスにしていかなければならないと、再確認することになりました。
またご参加いただいた加盟店の皆様も、現地での商談や視察を体験していただいた事により、その後の販売台数が増加いたしました。今後、どこまで一緒に販売台数を伸ばしていただけるのか、いまから大変楽しみです。
タンザニア以外のアフリカ訪問
実はカーディールページでは、今回のアフリカ訪問を2手に分けました。
- コンゴ、ザンビア、タンザニアの3ヶ国視察チーム
- タンザニアでのサバサバ出展チーム
3ヶ国視察チームでは、加盟店様がどの様にアフリカマーケット視察されたいかに応じて出張プランを作成しました。
サバサバでマーケット調査する事はもちろん、タンザニア以外の国はどの様な状況なのか、どんな車が売れているのか、現地のディーラーはどの様に販売しているか、協力できそうな現地企業はいないか、等を調査していただきました。
「ホントにこの車売れるのかな?」から、「この車、現地で需要あるよね」に代わるだけで、車を仕入れることの自信に繋がり、仕入戦略がより明確になり、営業内容も変わります。
是非、今回ご参加いただけなかった加盟店の皆様も、次の機会に、当社と一緒にサバサバに出展してみてはいかがでしょうか。
ダルエスサラームの「治安」「健康」「食事」って大丈夫?
最後に、皆様がアフリカ出張で気になるポイントである、「治安」「健康」「食事」について、体験談を元にお伝えします。
ダルエスサラームの治安と健康
大前提として海外はどこでも注意が必要ですが、われわれがビジネスで訪問する様な場所であれば、貴重品、荷物等を手放さずに注意していれば、あまり危険を感じませんでした。
日中の街中では、よほど人気のない路地裏や密集地でもなければ、注意しながら歩けば問題ありませんでした。
ダルエスサラームで特に危険だと言われているカリアコーというマーケットがありますが、ここは日本の新宿、渋谷、原宿なみの密集度で人が歩いています。ここでは当社スタッフも、貴重品は最小限にし、あまり油断せずスタスタ歩き無事に帰ってこられましたが、アフリカ訪問のご経験があまり無い方のみで歩く事は、あまりお薦めできません。
またダルエスサラーム市内は、夜は治安があまり良くないので、400m先の所へ行く時もタクシーを利用しました。
タクシーの代わりに、今全世界で流行のUberも利用してみました。時々、全然車が迎えにこないというハプニングもありますが、おおむね利用できました。
価格は非常に安い上、危険度も通常のタクシーに比べ高い感じには思えませんでしたので、個人的には使えるサービスだと感じました。
個人的に、タンザニアでの一番の防衛策は、「現地語で明るく挨拶をする!」という事だと思っています。「Mambo!( こんにちは!)」 「Mambo vipi(最近どう?)」 「Poa!(最高だよ!)」「Asante sana(ありがとう)」この位わかっていればなんとかなります(笑)
英語でHello! やThank youも良いのですが、英語で話しかけると旅行者かなと思われがちなので、サバサバなど、特に外国人が多く集まる期間は、旅行者は狙われる可能性が高くなります。なるべくローカル感を出したほうがいいでしょう。
また、こちらが挨拶した時の返しが悪いなど、挨拶をした人の雰囲気もわかります。タンザニアに行った時は、ぜひ、スワヒリ語で挨拶をされる事をオススメいたします。
また、アフリカへ渡航する際は、事前に必ず予防接種を受けなければなりません。タンザニアは黄熱病の予防接種は必須ではありませんが、日本からエチオピア経由で入国しただけなのに、入国審査の際にイエローカード(黄熱病予防接種の証明書)の提示を求められました。たまたまイエローカードを持っていたからいいものの、持っていなかったらトラブルになっていたと思われますので、この辺は注意が必要です。
マラリアも気になるところですが、蚊はダルエスサラーム市内ではあまりおらず、当社スタッフはマラリアの予防薬を飲んでおりませんでした。とは言ってもリスクは0ではないと思いますので自己判断にて予防薬は飲んだ方が良いかもしれません。
ダルエスサラームの食事
ホテルやレストランの様な所にいけば、海外に慣れていない日本人でも普通に食べられる美味しい食事がでてきます。ただ、場所によっては油がきつい場合もあり、お腹が痛くなる方もいらっしゃるかもしれません。
しかしこれはアフリカだけが特別というわけではなく、先進国に行ったとしても食事や環境の変化等で腹痛を起こす方もいらっしゃると思いますので、常備薬はお持ちになった方が良いと思います。
薬は、渡航前に日本の病院に行って腹痛の薬を処方してもらうこともオススメです。市販の薬より安価に手に入りますし、何より安心感があります。
滞在中には、やや郊外の、真っ暗で何を食べているわからないお店でローカルフードも食べてみましたがスタッフは特に腹痛等にはなりませんでした。
余談ですが、真っ暗な所で食事するとおいしさはあまりわからないものですね(笑)
※携帯でフラッシュを使用しないと真っ暗でした
日本からアフリカを訪れるには、渡航費もかかるし、時間もかかる。アフリカは、ノウハウや前情報が無いと、なかなか前に進みづらいマーケットです。
当社のサービスを利用して、中古車を輸出したり、タンザニアのサバサバや、他の国へのコネクションを持ってみたりしてみては、いかがでしょうか?
販売サイト:https://www.cardealpage.com/
国内サイト:http://www.cardealpage.co.jp/
こちらも是非ご覧ください サバサバにご参加いただいた加盟店様からの感想-アフリカ出張日記