皆様もご存知だと思いますが、中古車輸出業界の代表的な「大手企業」は下記の企業様です。
・株式会社エスビーティー (https://www.sbtjapan.co.jp/)
・株式会社ビィ・フォアード (https://corporate.beforward.jp/company/)
・平和オート株式会社 (http://www.heiwa-auto.co.jp/)
(以下敬称略)
これらの企業様は、それぞれ独自の強みを構築し、日々事業を拡大し続けていらっしゃっている非常に優良な企業です。
輸出対象マーケットの広さ、販売単価、販売手法を考えると、売上規模であればSBTがトップ、次いでBe Forward、平和オートではないかと予想されます。
また輸出台数は、単価の低い車両を多く輸出しているBe Forwardが年間11万6,000台とトップで(2015年)、日本からの年間輸出台数120万台のうち、30%程度が輸出大手3社とそのグループ企業で輸出されていると考えられます。
輸出企業は、販売台数の95%程度をオークションから仕入れておりますが、もちろんこれらの大手企業もオークションから仕入れています。
したがって中古車輸出は、大手企業に対し、仕入の差別化を図るのが非常に難しいビジネスとなっています。
もちろん、オークション以外の仕入れ先を見つけることができれば、大手企業との差別化が図れ、大きな武器になりますが、そのためには個人ユーザーから直接買い取るしかありません。
しかし、個人ユーザーから仕入れるのは難しく、また多くの買取拠点を展開しなければならないので、現実的ではありません。
大手輸出企業の強みは、
- 豊富な物量があるため、物流コストが安い
- マーケットのシェアを取る事により、価格コントロールすることができる
- 企業ブランディングを高め、より多くのリピーターを獲得している
などが挙げられます。
こうして列挙すると、輸出を始めたばかりの企業や、中小・零細の輸出企業にとっては非常に難しいビジネスと感じてしまうかもしれません。
しかし、少なくとも全輸出台数の50%は中小零細企業が輸出していることを考えると、まだまだチャンスがないわけではありません。
大手企業の強みを回避しながら、いかにして利益をあげるか
大手企業の強みを回避しながら、いかにして利益をあげられるかを考えてみましょう。
1.仕入れに手間がかかる車両を仕入れる
大手企業の戦略
大手企業は、基本的に、マーケットシェアを獲得するために輸出台数にこだわる戦略をとっているようです。多少利益が薄くとも、できるだけ多くの車をユーザーに届ければ、口コミが広がり、ブランド価値も高まっていくからです。
したがって大手企業が販売する車は、必然的に、ユーザー数が多い低単価の「乗用車」が主流になります。
しかし低単価の乗用車は、販売競争が激化しているため、薄利で販売しなければならないので、仕入れを最大限効率的に行い、無駄や手間をかけずに多くの車を仕入れて販売する必要があります。
この仕組みができあがっているのが、大手企業の強みになっています。
「商用車」にチャンスあり
確かに、日本から海外に輸出されている車は圧倒的に「乗用車」が多いですが、問合せがある車を分析すると、「商用車」を求めるバイヤーの数も多いことに気づきます。商用車とは、たとえば、バン(ハイエース)、トラック(キャンター)、マイクロバス(コースター)の様なタイプの車です。
輸出先の国々は、経済が発展していない新興国が多くインフラも整っていません。
そのような環境では、商用車を持っていると即座にビジネスチャンスが広がるため、個人やスモールビジネスオーナーが商用車を購入し、ビジネスを始めるケースが目立ちます。
そこで、商用車の仕入れにこだわることが、新規参入企業や中小零細企業にとって、大手企業に負けないための戦略(ニッチ戦略)になります。
オークションは1台20秒で競りが終わってしまう程のスピードで、1日に何万台も取引されています。
乗用車は年式、スペック等でだいたい相場が決まっているので、オークションのスピード感に合わせて、機械的に仕入金額を算出し、応札することができます。
それに対し商用車は、用途によりスペックが複雑で、また年式が古い車も多く、車両状態も個車ごとに大きく異なります。
当然ですが、スペックや状態によって相場も大きくかわるため、1台1台手間を掛けて吟味し、仕入金額を値付けなければなりません。
このように、大手企業にとっての商用車は、システマティックな仕入れの体制に合わない商材なので、費用対効果を考えると、そこまで時間と手間をかけて扱うメリットがありません。
大手企業は、商用車を1台仕入れるよりも、乗用車を5台仕入れて販売するほうが効率的なのかもしれません。
また海外バイヤーも、なかなか流通していない商用車は多少高くても購入する傾向がありますので、大手企業は商用車の利益を高めに設定しています。ここに、規模の小さな企業にとっても、価格競争に巻きこまれず利益を取って販売できる余地が残されています。
資金が限られた中小零細企業にとっては、手間を惜しまず、商用車の仕入れの研究をし、高く販売できる商用車の割合を増やすことが、利益の源泉になるのです。
2.あえて単価の高い車両を仕入れる
大手企業は在庫資金を金融機関から借り入れていることが想像できます。
その販売規模からも、おそらく数10億円の借り入れを起こして事業を行っているでしょう。
当然、その資金には金利がかかりますし、金融機関や投資家の考え方によっては、求められる利益率のハードルも高いかもしれません。
資金は無尽蔵にあるわけではないので、同じ資金を使って多くの利益を上げるには、なるべく早く資金回転させ、ROA(総資産利益率)を高めていく必要がでてきます。
新興国には、車両価格3万円位から20万円未満の車が大量に輸出されておりますので、大手企業は、これらの低単価の車を販売して在庫回転率をあげていきます。
また、大手企業は、一般的な中小の輸出企業に比べると、1台あたりの輸出コストが1万円は安いと推察されますので、単価が安い価格帯で1万円のハンデを背負って商売するのは得策ではありません。
そこで、大手企業の販売している車両と少しずらして、単価をあげる戦略がおすすめです。
やや単価の高い30万円以上の車であれば、安い車に比べると在庫回転率も落ちるので、大手企業もある程度利益を売って販売しています。
これは金利やROAを考えると当然ですよね。
そんな単価が高めの車であれば、利益を取って販売できる車があります。
特に商用車であれば、流通在庫が少ないため、なおさら利益がとれる車を見つけやすくなるでしょう。
新規事業の場合は、一見リスクの少なそうな低単価の車両を仕入れてしてしまいがちですが、これでは大手企業のひしめくレッドオーシャンで戦うことになってしまいます。
輸出を始めるには、少し単価の高い車両で勝負するのが吉となります。
このように輸出業界の大手企業を理解することは、規模の小さな輸出業者が利益を確保するためには、非常に大切なことです。
マーケットのシェアは少なく、ニッチかもしれませんが、利益の取れないレッドオーシャンで勝負するよりは、成功の確率が上がるのではないでしょうか。
まとめ
中古車輸出大手に負けずに、輸出業を成功させるためには、
- オークション相場30万円~150万位までの車両
- 商用車やSUV等、比較的流通量が少なく現地でニーズのある車両
で在庫を構成してみるのがオススメです。
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