「高床」は間違いなく買い
今までは、抹消証から確認できる項目でしたが、ここからは現車を確認しないとわからない条件になります。
写真を見ながら理解を深めていきましょう。
目次
「高床」「フルフラットロー」「低床」の違いとは
トラックの荷台の高さは、 「高床」「フルフラットロー」「低床(ジャストロー)」 の3つに分けられます。
高床 | フルフラットロー | 低床(ジャストロー) |
写真のように、荷台の高さとタイヤの大きさで分類します。
実は、日本には「フルフラットロー」や「低床(ジャストロー)」という定義はありますが、「高床」という定義はメーカー生産時から存在しません。
しかし世界のバイヤーは、 荷台が高い位置にあることを高床(High deck)と呼び、大変人気があります。
それぞれの条件をまとめると下記のようになります。
・荷台は、キャビン(白い部分)と同じ位置か、キャビンより高い
・タイヤサイズが前後同じで、かつ16インチ以上
・タイヤサイズが前後同じ
・キャビン(白い部分)に対して、荷台の位置が少し低くなっている
・キャビン(白い部分)に対して荷台の位置が明らかに低い
・基本的に後輪がダブルタイヤ
なお、フルフラットローはあまり海外では認識されていないようで、国やバイヤーによっては、16インチのタイヤでは無いものの、フルフラットローを高床の部類に含める事もある様です。国々によって認識に違いはあるようですね。
なぜ日本には、低床(ジャストロー)というトラックがあるのか
日本では街中どこでも路面がアスファルト舗装されているので、山や工事現場以外では、路面にほとんど凸凹がありません。したがって、日本では車高が低くても問題にならない場合が多いです。
それに対し、人間が荷物を積み下ろしする際には、当然荷台が低い方が作業しやすい為、荷台が低い低床(ジャストロー)の方が使い勝手がいいです。
一方海外では、路面状態は日本ほど整備されておらず、アスファルトが崩壊したままになっていたり、穴や小さい山が道路上にあったりする為、走行中に地面をすらない様に、「高床」が人気になっています。
したがって、日本では多くの低床が走っていますが、海外では高床の方が人気となります。
つぎは、下回りの理解を進めていきましょう。
海外バイヤーは、板バネの位置を見ている
乗用車に搭載されているスプリングコイルのグルグルとしたバネやショックアブソーバーの様な機構は、走行中の衝撃を吸収しやすく、乗り心地はよくなります。
しかし、重い貨物を載せると、すぐに傷んでしまいます。
一方商用車は、重い物を運ぶという用途から、下の写真の様な板バネ(Leaf spring)が主流となっています。鉄板を重ね合わせた衝撃吸収機構です。
鉄板でできているので壊れる事がほとんどありませんので、商用車には広く装備されています(乗り心地はあまり良くないですね)。
板バネの位置の違い
この 板バネの位置も、海外バイヤーが気にするポイントで売れ行きに影響 してきます。
板バネが付いている場所は下記の様に2種類あります。
・車軸下方(デファレンシャルギアの下方)に板バネがついている「アンダースラング」
車軸上方にある「オーバースラング」 | 車軸下方のある「アンダースラング」 |
板バネがデファレンシャルギアより下にあると、日本では荷台を下げる事ができ、荷物の上げ下ろしが楽になりますが、前述の通り、地面と板バネが近い為、路面が悪いところでは地面にこすって、ダメージを受ける場合があります。
したがって、 海外バイヤーはオーバースラングのトラックの方を好みます。 注意しなければ行けないのは、高床なのにもかかわらずアンダースラングの場合もあることです。
ただし、オーバースラングの日本での流通量は少ないので価格は高くなります。オーバースラングでは売れないというわけではなく、オーバースラングの方が高く、速く販売できる可能性があると考えておいたほうがいいでしょう。
また、前述の荷台の高さや、板バネの位置を見て、海外バイヤーは購入します。
したがって、 掲載する写真には、「ボディーの真横からの写真」と「板バネの位置がわかる下回り写真」が必須 となっています。
トラックを販売する場合は、必ずこれらの写真を掲載しましょう。
シングルタイヤの高床は、キレイだから人気
通常、トラックのリアタイヤはダブルタイヤですが、時々シングルタイヤの場合もあります。
シングルタイヤの場合でも、タイヤサイズを大きくする事により、重さに耐えられる様設計されているので、シングルタイヤの高床も人気です。
シングルタイヤの高床は、日本では、新聞の輸送で街中を走っている用途などで利用されておりますので、工事現場で使われていた様なトラックと比べると、車両状態も良い物が多いからです。
高床のシングルタイヤの車両も、とても流通量が少ないですが、チャンス車両です。
オートマのトラックは要注意
日本で走っているトラックは、ほとんどがマニュアル車です。しかしながら、使用者の都合上、時々オートマ車もあります。
ミスして仕入れることが無い様、しっかり確認しましょう。
マニュアル | オートマ |
なお、海外にオートマは売りにくいイメージがありますが、仕入れ価格も安い為、売価さえ安ければ販売は可能です。
流通量が少ない4WDを求める海外バイヤー
日本で流通している小型トラックは基本的に2WDが主流です。
しかし、流通量は少ないですが4WDのトラックも存在し、海外では4WDのニーズが高く、販売価格も高くなる傾向にあります。
販売の際には、希少車だということをしっかり伝えることが大切ですね。
4WDのキャンターは基本的には「買い」 だと考えていいでしょう。
下回りで4WDかどうかを確認する方法
仕入れで失敗しないように4WDの見分け方も覚えておきましょう。
下回りをみて、デファレンシャルギアがいくつあるかによって見分けることができます。
デファレンシャルギアが前後2つある場合は4WD、後ろに1つしかない場合は2WD になります。
また、写真で下回りを確認する際に、車の前方の写真か後方の写真かを見分けづらい事もあるかもしれません。
その場合は、「タイヤがシングルかダブルか」と、「マフラーがあるか」を見れば判断がつきます。
トラックは、基本的に前輪がシングルタイヤ、後輪がダブルタイヤになります。(後輪シングルタイヤも若干あります)ので、ダブルタイヤの写真が後方の写真だと考えておけばいいでしょう。
他にも2WD、4WDの見分け方では、センターデフがついているかという判別方法もありますが、よく知らないと難しいので、まずは上記の判断方法で確認しましょう。
余談ですが、車両のボディに4WDのシールが付いていても実は2WDという事があります。
出張でタイに行った時に、ピックアップトラックは2WDでもだいたい4WDのステッカーが貼られていたので、衝撃を受けました。
切り替えスイッチでの4WD確認方法
小型トラックは、ほとんどがフルタイム4WDではなく、パートタイム4WDです。
パートタイム4WDは、運転席付近に下記の○の様に4WDの切り替えスイッチがあるので、この スイッチがついている場合は4WD だと考えていいでしょう。
このスイッチの写真を掲載することは非常に大切です。せっかくの4WDなので必ず写真を掲載しましょう。
型式での4WD確認方法
更に、型式で確認する場合もあります。
キャンタートラックの型式に、FD***の様にDがつくと4WDとなります。
写真で確認できない場合は、こちらで確認する事ができます。
ここで、トラックの駆動についての小話です。
日本で発売されているトラックは、2WDでFR(フロントエンジン・リアドライブ)、分かりやすくいうと後輪駆動が主流となっています。
なぜFR車が多いかというと、荷台に荷物を積むので、車の後ろ側の方が重くなり、そこに動力が必要だからです。
もしFF(フロントエンジン・フロントドライブ)の場合は駆動が前側になる為、重い貨物を積んでいる場合に、前に推進する力が弱くなり、タイヤが空転してしまう恐れがあります。
したがって、荷重の重い後ろ側に駆動を持ってくるFR車が多いのです。
車両コンディションで選ぶ
最後のポイントは、車両コンディションの確認です。
トラックはその使用用途から、状態の悪い車両が乗用車よりも多いと考えられます。
特に気をつけなければならないのは、「サビ」と「腐食」 です。
どの様なサビに注意した方がよいのかというと、 表面のみの薄いサビで赤茶けている程度であれば問題はありません。
それに対し腐食穴があいているトラックは、サビが深い為注意が必要です。
サビが深いトラックは、海外バイヤーが安く購入し、現地に届いてから補修をすれば良いと思いがちですが、中古車輸出には出港前に輸出前検査があります。
輸出前検査で不合格になると、多額の修復費用が掛かる 場合がありますので、購入する際には輸出前検査に適合する車両を購入するか、検査に合格するために必要な補修費用を見込んだ金額で仕入れておいた方が良いでしょう。
輸出前検査に落ちるサビの状態
輸出前検査に落ちるサビの状態は、下記のような場合です。
・腐食穴がある場合
・フレームにミルフィーユの様にパリパリしたサビが出ている場合
この様な場合は、ほぼ輸出前検査で不合格になりますのでご注意ください。
なお、その他、白煙等でも検査不合格になりますので、基本的にエンジンの状態が悪いトラックは避けたほうがいいでしょう。
エアブレーキがあると高く売れる
補足になりますが、4t以上のトラックによく搭載されている装備として、エアブレーキがあります。
エアブレーキは、油圧ブレーキに比べると大きな制動力がありますので、大型車にはエアブレーキが装備されております。
4tの中型車でも、中にはエアブレーキを搭載しているトラックがあります。
エアブレーキがあった方が、価格が高いですが売りやすい です。
ただし、たとえエアブレーキが無くても、4tトラックはそもそも流通量が少ないので、価格をしっかり調整すれば販売することができます。
また、4tダンプは、通常のあおりやLゲートなどがありますが、どちらも販売実績があります。
ここまで、キャンターを販売するために必要な10のポイントをお伝えしてきました。
今回はキャンターについて取り上げましたが、スペックによる相場の違いを覚えてしまえば、他のトラックへ展開する際に非常に役立ちます。
トラックの仕入れは、最初は敷居が高いかもしれませんが、確実に利益を取れる可能性が高いです。
ぜひ、キャンターから販売強化してみてはいかがでしょうか。
カーディールページ
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