カーディールページでは、様々な車が海外に販売されていますが、その中でもしっかり利益を取って売れる車の代表格は キャンター と キャンターガッツ です。
しかし、加盟店の皆様にキャンターやキャンターガッツの仕入れをお勧めしても、トラックはイマイチわからないから仕入れにくいとおっしゃる方もいらっしゃいます。
そこで今回は、キャンターとキャンターガッツをメインに、海外にトラックを売るために必要なポイントをお話します。
一番売りやすいキャンターから仕入を始め、トラックのスペックによる相場感が身につけば、他のトラックへ展開するのも楽です。
まずはキャンターに関する知識をしっかりつけましょう。
目次
架装物から考える、売れるトラックとは
釈迦に説法になるかもしれませんが、日本には用途に合わせて様々な架装物のトラックが走っています。
例えば
- 新鮮な野菜、魚貝、肉、花等を運ぶ冷蔵冷凍車
- 土砂、がれき、廃棄物等を運ぶダンプ
- 電線工事などに使う高所作業車
- 荷物や工作物を運ぶ平ボデー、平ボデーロング
- 簡単に重い荷物を荷台に載せることができるパワーゲート
- 引越しや人に見せたくない物を運ぶなど、セキュリティーを考えたアルミバン
- 紙など重い荷物をフォークリフトできれいに詰める事ができるウイング車
- 重い荷物を積み下ろしできるクレーン車
このほか、パッカー車やバキュームカーもありますが、挙げていくときりが無いですね。
冷蔵・冷凍車 | ダンプ | 高所作業車 |
平ボデーロング | 平ボデー | パワーゲート |
アルミバン | ウイング車 | クレーン車 |
これらの中で、海外にニーズのあるトラックは、
- 平ボデー(平ボデーロング)
- ダンプ
- 冷蔵冷凍車
- クレーン車(UNICが良い)
の4種類です。
中古車輸出は、箱付トラックは人気なし
アルミバン、ウイング車、冷蔵冷凍車など、箱状の架装物がついているトラックがあります。
冷蔵冷凍車は海外に輸出されていきますが、 アルミバンとウイング車は輸出には不向き だと思われます。
その理由としては、
・体積が大きいと船賃が高くなる
・その分、現地での税金が高くなる
ということが考えられます。
中古車は、自動車専用船(PCC)やコンテナで輸出します。
まずコンテナですが、箱状のトラックはコンテナの高さより高くなる為、コンテナで輸送することはできません。
そこで自動車専用船で運ぶことになりますが、自動車専用船の船賃は、車両の体積が大きくなるにつれて高くなる設定になっています。
そして、船賃が高くなったことにより販売総額も高くなりますので、それを元に算出される現地の関税も高くなります。したがってダブルでコスト高になってしまいます。
このような理由から、 アルミバンやウイング車は海外バイヤーの予算に合わないケースが多い ため、在庫にして販売するのはお勧めできません。
しかし、政府の案件や、バイヤーのバックオーダーがある場合など、どうしても欲しいバイヤーがいる場合は、前金を前提で販売することもできるでしょう。
ダブルキャブのトラックは売れるのか?
シングルキャブとダブルキャブでは シングルキャブの方が販売しやすい です。
ダブルキャブ | シングルキャブ |
昔は、日本でも荷台に人が乗っているのを見かけましたが、道路交通法で禁じられていますし、今ではそんな光景は見ませんよね。
しかし、日本の中古車が輸出されていく途上国では、荷台に人が乗っているのは普通です。ダブルキャブを買うくらいなら、荷台に乗ろうという感覚です。
使えそうな写真がピックアップトラックしかありませんでしたが、実際に現地に行くと2t平ロングボディーに50人以上乗っているのではないかという光景も見かけます。
恐らく昼間はトラックとして使って、仕事が終わったら人を載せて村に帰るのでしょう。
したがって、ダブルキャブはあまり人気がありません。
ただし、ダブルキャブもオセアニア地域の国々には売れていますので、価格次第ですが全く売れないわけではありません。
積載量によって売れ行きが変わる
キャンターとキャンターガッツの違いをあまりご存じない方もいらっしゃるようですが、2つの違いは積載量です。
「キャンターガッツ」は1.5t 以下
1.5t以下のキャンターは存在しません。
ちなみに三菱(ふそう)では
5t ~ 10t 以上は「ふそうスーパーグレート」
というように、積載量で車名が変わっていきます。
ただし、上記には例外もあるようで、積載量(耐荷重)は
・タイヤの大きさ、へん平率
・ダブルキャビンの有無
・架装物の重さ
などによっても変化することがあります。積載量が変わると、仕入れや販売の価格が変わるので、しっかり確認しましょう。
ちなみに、 CardealPage上で販売されたトラックのうち、どの積載量が多いか というデータは下記の様になります。
積載量 | 比率 |
---|---|
合計 | 100.0 % |
軽 | 3.7 % |
0.75 t | 2.8 % |
1 t | 17.8 % |
2 t | 72.9 % |
4 t | 2.8 % |
現状は、 2tクラスの小型トラックが最も多く売れています が、それ以外の積載量のものも売れます。
以前、カーディールページが自社在庫を販売していた頃は、0.75t ~ 1.5tや4tクラスも多く売れておりましたが、現在それらの積載量の販売台数が伸びていません。
それは、現在の掲載在庫は、全て加盟店様のものになっておりますが、0.75t ~ 1.5t や4tクラスの在庫掲載が少なく、せっかくCardealPageにはそれらを購入したいバイヤーが訪れてきていますが、商品がないので売れない状況が続いています。
0.75t~4tクラスまで、どの積載量でも売れますので、幅広く仕入れをしても大丈夫です。
特に4tクラスは、当社に手数料をお支払いいただいても、利益を取って売りやすいトラックだと考えられますので、4t車両をお持ちの方はチャンスです。
積載量の写真を掲載しよう
トラックの荷台後ろのあおりには1500kg、2000kg、3000kgと積載量のステッカーが貼られている車両があります。
バイヤーはここを見て、積載量に間違いがないかを確認しますので成約率がアップします。 積載量シールは必ず撮影して掲載 しましょう。
ディーゼル車の方が人気がある理由
次はキャンターの燃料について理解を深めていきましょう。
日本で販売されたキャンターとキャンターガッツは、そのほとんどがディーゼル車です。
ガソリン車は、キャンターガッツにのみ設定があります。
日本のトラック価格は、一般的に同条件(年式、シフト、距離、荷台形状等)であれば、
というようにディーゼルが一番高く、需要も高いです。これは日本も海外も同じですね。
なぜディーゼル車の方が人気があるのかというと、ディーゼル車の方がトラックの特性に合っている場合が多いからです。
ガソリン車とディーゼル車には、下記の様な特徴があります。
・ディーゼル車よりも高出力で静か。パワーよりもスピード重視
・一般的に、ディーゼルエンジンよりも安価に生産可能
・スピードよりパワー重視
・一般的にガソリンエンジンよりも生産コストが高い
トルクとは、車の場合、車軸を回す力を指します。
自転車のギアを考えるとわかりやすいかもしれません。
漕ぎはじめは、ペダルを回す時に力の入りやすい(強い)ギアを、スピードがのると、ペダルを回す力が少ないギアに変えます。
漕ぎはじめに車輪を回す力が強い方を「トルクが大きい」と考えればイメージがつきやすいのではないでしょうか。
トラックは荷物を運んだり重いものを動かしたりする為、ガソリン車ではなくパワーのあるディーゼル車が用途にはあっているのですね。
したがって、海外バイヤーからもディーゼル車の方が人気で、元々ディーゼルエンジンの生産コストが高いこともありますが、販売価格も高くなるのだと思われます。
バイヤーの用途によっては、ガソリン車を購入する場合もありますので、価格次第ではガソリン車でも仕入れるのも、ありだと思います。
燃料種別を型式で確認する方法
前述のように、キャンターには、ガソリンモデルが存在しません。
ディーゼルとガソリン両方設定があるキャンターガッツは、型式で燃料を判別することができます。
キャンターガッツの型式は、FA500Bの様な英数字の羅列です。ガソリン車とディーゼル車を見比べてみると、
ディーゼル車:FB501A, FB511B , FB50AB , FB70B
の様になります。ここから分かる通り、型式には下記の法則があてはまります。
ディーゼル車:数値が3ケタで下1桁が「1」または数値が2ケタの場合
※ディーゼル車はFAからは始まらない
もしオークションや業販等で、この法則に当てはまらない車両を見かけた場合は、「記載間違い」か「エンジン交換」の可能性があります。仕入れ前に、しっかり確認した方がいいでしょう。
LPGエンジンのキャンターに注意
LPGのキャンターは、日本では公共団体が特殊仕様として利用するくらいですので、ほとんど流通しておりません。そのため、間違って仕入れてしまう事があるようです。
「おお!安く買えた!」と思って査定表を見直したらLPGだったとかATだったとかありますので、注意が必要です。
特に LPGのトラックは、輸出できる国がかなり限られますので十分ご注意 ください。
キャンターは、エンジンによって売れ行きが違う!?
海外バイヤーは、キャンターのエンジン型式を非常に気にして購入します。
よって、販売側もしっかり理解をして仕入れ、販売する必要があります。
キャンターとキャンターガッツは4D30, 4M40 , 4M50 の様なディーゼルエンジンを搭載しています。
4D**という 4Dシリーズ と、4M**という 4Mシリーズ に分かれます。
海外バイヤーには4Dシリーズのほうが人気 です。
4D30エンジン | 4D32エンジン | 4D33エンジン |
4D34エンジン | 4D35エンジン | 4D36エンジン |
4M40エンジン | 4M50エンジン | 4M51エンジン |
4P10エンジン(2010年11月以降) | ||
ちなみに、キャンターガッツには4Dシリーズはありません。
大人気の4Dエンジンを理解する
海外バイヤーから大人気の4Dエンジンを詳しく見ていくことにしましょう。
4Dエンジンの「4」は、直列4気筒の意味で、Dはディーゼルを意味しています。また4Dエンジンは4ストロークを採用しています。
4ストロークとは、吸入・圧縮・燃焼・排気という爆発の工程が4工程あるエンジンです。
キャンターのエンジンは、1978年に最初の4D30エンジンが搭載され、毎年改良されてきました。
4D30:3.3L |
4D31:3.3L (直噴ディーゼルターボ) |
4D32:3.6L |
4D33:4.2L |
4D34:3.9L |
4D35:4.5L |
4D36:3.6L |
4Dシリーズが発売されていたのは1978年~2004年頃です。したがって、まずはこの年式の範囲内で仕入れをトライしてみると、結果が出やすいのではないでしょうか。
また、キャンターにはガソリン車の設定がありません。ガソリンエンジン搭載モデルはキャンターガッツのみで、4G63エンジンが採用されています。
以上の様に、キャンターのエンジンを理解することは、海外に販売するためには非常に大切になります。エンジン型式を意識して、仕入れや営業をするといいでしょう。
ここまでは、抹消証から確認できるポイントをお伝えしてきました。
次回は、現車を確認しなければわからないポイントをお伝えします。
次の記事はこちら
キャンタートラックを海外に販売するために押さえておくべき10のポイント(後編)